探偵の潜入調査

よく映画やドラマでは女性探偵が様々な飲食店、風俗店などの従業員として潜入するシーンがありますが、実際にはありえません。
もしかすると他社ではあるのかもしれませんが長年、探偵をしている私には知り合いの探偵の中でも聞いた事がありません。
もちろんお客としていろいろなお店に潜入する事は素行調査全般において多々あります。
しかし、女性探偵の風俗店従業員としての潜入ではリスクが多すぎます。
確かに女性探偵が体をかける、かけないという一般常識でも普通に考えれば無理な問題もありますが、仮にかけてくれたとしても殆ど情報が得られません。
そうです。
接客しているからです。
ホステスとして潜入したとしても毎日出勤してくれといわれないかもしれませんし出勤していても別の席で接客していると何もなりません。
情報が得られないのに料金を掛けて依頼者もそんな方法を選択してきませんしこちらもそんな調査方法やアドバイスは提供は出来かねます。
ドラマの世界の話なので真に受けないで下さい。
同僚の女性探偵には友人にそういった業務も強制されるのかと思っていたという笑い話がありました。

一般的に探偵が実施する潜入調査はお客として店舗に入るケースが一番多いケースです。
これは対象者が入店した店舗に時間差で潜入するケースと調査対象者及びその関係者が勤務している店舗に潜入するケースがあります。

前者はそのままの通り調査対象者が店舗に入店後、どのいった人と合流、どのような飲食状況、会話などをしているかなどその言動を探る為の潜入です。
よく社員の不正関係調査や保険調査などで活用されています。
後者については例えば配偶者の浮気相手が勤務している店舗に潜入して探偵とは悟られないように同僚などから聞き込んだり、時には浮気相手そのものからもいろいろと情報を聞き込んだりします。
潜入する店舗も飲食店から性風俗店、美容室、ジム、サークルなどと幅広く、探偵もそれなりの社会的情報も仕入れておかなければせっかく潜入しても会話ひとつ出来なければ話になりません。
この会話でどれだけ相手を信用させ、いろいろな情報を聞き込みできるかに掛かっているのです。

潜入調査では店舗のバイトや従業員。一般事務や営業職など社員としての潜入調査はもちろん実際にあります。
依頼者が経営者であれば難なく簡単に潜入はできますがそうでない場合には面接等をして採用されなければなりません。
また専門資格を有する場合には殆ど潜入することは不可能となってしまいます。
経験した潜入調査の中で印象に残っているのは初めての潜入調査であったソープランド店の店員となる任務でした。
依頼者がそのオーナーで店長が帳簿につけている売上に不信感を抱き、お客の入店数を正確に調査するという内容でした。
新人という事で呼び込みと案内係を仰せつかり、この調査にはうってつけでしたが、ただ東京生まれで東京育ちの自分には当時の自宅から2駅と近い繁華街での仕事、それもはっぴを着て、はちまきをしての仕事です。
もし近所の人や友人、知人に見られたり、最悪、お客として来店してくる可能性も高く、けっこう冷や冷やものでした。
それでも依頼された以上、店員になりきり、先輩店員の指導を受けながら呼び込みから清掃、雑用などをこなしました。
結果、1週間ほどの日数で終了となりましたが結果は上々、不正を暴くことに成功したのです。
探偵というのはこういった潜入調査をすることもあるのかと今ではよい経験をしたと思っています。

極めつけの潜入調査は数ヶ月にわたっての潜入です。
この件ついてはいろいろと差し障りがあるので調査目的などの詳細は省略いたしますが、過去において不動産会社や商品販売会社などに潜入調査いたしました。
ある調査員は都内にある会社の中途採用に応募に行き、採用されて潜入に成功しました。
3ヶ月の研修期間の間に様々な情報を取得、正社員になる前に調査が終了、なんなく退社でき、潜入調査は完璧にうまくいきました。
当初は潜入がばれないかとかなり冷や冷やものだったですが潜入調査員も上手く立ち回り、上司や先輩社員に可愛がられ、溶け込んでいったみたいです。
こういった調査では応募の際の履歴書内容について、どこまで個人情報を出すかによっても難易度が違ってきます。
例えば、免許が必要な場合には探偵自身の免許を提示しなければなりませんからリスクが高くなります。
ドラマでは免許なども偽造して潜入する場面がありますがそういった事は絶対にしていません。
もちろん事務所全体で様々なバックアップ的な工作も必要に応じて対応しなければなりませんが。
しかし、潜入調査はかなり神経は使う任務です。
なにしろ役者として長時間、それも全てがアドリブで演じなければならないのですから。
潜入探偵自身に旨味があるとすれば探偵としての給料以外に潜入会社の給料はそっくりそのまま潜入した探偵の手元に入る程度かもしれませんが。